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拾穂園日乗 〜菜種梅雨を喜ぶ親子蛙〜 おんぶに抱っこ嫌がりもせず

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三日間降り続いた「菜種梅雨」がやっと上がりました。拾穂園の母屋南庭にある枯山水の池が、春弥生にしては珍しい長雨で水が張り、池のほとりに鎮座する石造の親子蛙(かえる)が水を得て何やらうれしげです。気づけば、いつの間に結構苔むした親子蛙です。ガマガエル然とした親蛙ならともかく、子蛙まですっかり古びてしまって、ちょっとお気の毒。

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蛙の置物は、「お客様を迎える」「無事かえる」などと言って、古来縁起がいいとされます。特に親子蛙は、「親の背を見て子は育つ」といい、親たるものの徳育を戒めているとか。

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しかし、この親子、少し可笑しみを誘います。子蛙というにはちょっと育ちすぎていて、いつまでも親の脛(すね)かじりならぬ、親におんぶに抱っこの風情。大きくなっても甘えるわが子を嫌がる様子もなく、親蛙はむしろ泰然。ギョロッと目をむき、堂々たる面構えが、なんとも可笑しくも、愛おしさを覚えます。
 拾穂園の母屋南庭は、江戸時代にさかのぼるこの家の歴史の"生き証人"。庭園史に詳しい野村勘治氏によると、愛知県西部、海部津島地方の旧家に見られる作庭法が見られるそうです。

 この親子蛙がいつからここにあるのは判然としませんが、類作にはない個性と存在感が感じられます。