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猿面席に有楽流創意の茶
三英傑茶会が大盛況
優美な点前、侘びの桃山陶

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 名古屋城観光の一翼を担う第2回三英傑茶会が2022年10月2日、城内茶席と本丸御殿に設けられた茶席3席で開かれました。久しぶりの週末の快晴。秋晴れのもと、前年より百人も多いお客が訪れ、終日賑わいました。

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 城内茶席で定期的に茶会を開いている金城会が主催する年一回の特別茶会です。今回は毎日新聞に紹介記事が載るなど認知度が高まり、コロナの行動制限がなく第7波も収束に向かうなど、茶会はほぼ正常化し、前売りで満席になる盛会となりました。
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 茶席書院の信長席は志野流家元の蜂谷宗玄さん、猿面茶席の秀吉席は有楽流拾穂園の長谷義隆さん、本丸御殿孔雀之間の家康席は、三英傑茶会名付け親の表千家流重鎮の野口裕記さんが担当しました。
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 3席のうち、猿面茶席のみが4畳半台目という小間茶室。客入りは一席あたりいくらぎゅう詰めにしても10数人のところ、20人以上入っていただかないと、お茶会が回っていかない。

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 そこで、席主の長谷さんは、有楽流伝統の創意工夫を凝らして、本来、水屋スペースの次の間も開放して、建具を取り外した二間続きの茶の湯空間としました。さらに、点前座を両室から見える位置に配し、次の間にも仮設の床の間を設け、縁側まで客座とし、一座建立の茶の湯空間として構成。最大24人まで収容できる客スペースを確保しました。

4801384837640158417.1e5a9ed23cb547789bc4202d395298af.22100304.jpg  剛健にして優美な有楽流独自のお点前が、両室から見ることができる、と評判でした。

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写真上は、猿面茶席の内側から、この日の茶会の様子の様子です。 

写真下は、縁側席から見た、有楽流席の様子です。

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 この日は日中気温が30度近い高温でしたが、緑が多い城内茶席は涼しい風が吹き抜け、お客からは「こんな茶室風景は見たことがない」「さすが、上手く猿面席を広げて使っている」などと好評でした。

 有楽流席は、秀吉席にちなみ、正室の高台院湖月尼(ねね)の作と伝わる茶杓や、秀吉の馬印・千成瓢箪を想起させる風炉・釜、千成瓢箪茶器などを遊び心豊かに散りばめました。

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 本席には江戸藩邸での茶事指南を有楽流宗匠に請うた尾張徳川家二代光友公筆の和歌五首、尾張家数寄屋頭だった歴代有楽流宗匠の自作茶器を用いて、有楽流の歴史を縦糸に、早くも熟した烏瓜の実を添えた3種の花材を大胆に投げ入れた茶花など季節感を横糸に、織り上げた室礼でお客をもてなしました。

 席使いの茶器は、桃山陶や高麗茶碗など、見どころ豊かな茶器が用いられ、うるさ型の茶客が「こんな桃山の紅志野や古唐津はなかなか拝見できない。しっかり見ておいた方がいい」などと同座の人たちに説明する光景も見られました。

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 終盤、隣の書院席の席主、志野流蜂谷家元が有楽流席を表敬。そのまま、正客として一服の茶を堪能され、親しい席主の長谷さんに「この菓子器の唐物朱盆、香炉盆にもってこいだね」と冗談半分でおねだりする微笑ましいやりとりもあって、座は一層盛り上がりました。

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