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危機の時代 先鋭に
池坊専永さん生け花大作
和と美「いけばなの根源 池坊展」名古屋開幕

IMG_7477.JPG 細い花器の上に、ダイナミックに広がる深山幽谷の景色。しかし、指で軽く突けば、今にも倒れそう。そんな危うさは、核の脅威が日ごとに増す今の時代相とともに、地球温暖化による気候変動の危機的状況をを鋭く表現しているようです。華道家元四十五世 池坊専永さんの生け花作品は、われわれが生きる時代を照射する最も先鋭的なアートだ、と感じました。

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 いけばな発祥の地、京都市の「六角堂」(紫雲山頂法寺)を建立した聖徳太子が亡くなって1400年。メモリアルイヤーを記念した生け花作品展「いけばなの根源 池坊展」が2022年9月14日、名古屋・栄の松坂屋名古屋店本館7階催事場で始まりました。池坊専永さん、次期家元の池坊専好の大作をはじめ、東海地方で活躍する池坊華道家による初秋の花材を用いた作品など、延べ350作を展示します。

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 生け花のルーツは飛鳥時代に遡り、現在の華道の形になったのも室町時代だそうです。華道最古にして最大流派である「池坊(いけのぼう)」の名称は、聖徳太子が沐浴した池に由来します。太子が創建した六角堂に、住職が朝夕、仏前に花を手向けたのが華道の始まりとされます。代々、六角堂の住職が池坊の家元を兼ね、現代まで脈々と和と美の心を受け継ぎ、世に広めています。

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 われわれの拠って立つ平和や自然環境が実はとても危ういことを鋭く告発する専永家元の作品に対して、次期家元の専好さんの作品は、一見、美しいだけに見えます。

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 しかし、その内包する危機感は家元以上かもしれません。気候変動による海面上昇によって、地上の楽園といわれる南洋の島国に押し寄せる水没の危機を、静かに、美しく表現しているとも見えます。

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 華道家元池坊では2021年11月から2022年10月を聖徳太子大遠忌期間として「いけばなの根源池坊展」では、六角堂に伝わる太子の資料や仏教と生け花を繋ぐ「三具足」の展示、聖徳太子の逸話などをテーマにしたいけばな作品を展示するコーナーを設けました。

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 太子と生け花のエピソードやいけばなの歴史など大遠忌を記念する本展ならではの展示があります。

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 新企画「いけばな植物園」は生け花を、バラ科・実もの・蘭・観葉植物・水辺の植物の5つのカテゴリーに分けて展示するコーナーです。それぞれの植物が持つ魅力が引き出されていました。

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入場料1,000円(税込み)※高校生以下無料
会期中、3回にわたり入れ替え展示
〈一次展〉
14日(水)10:00~18:00
15日(木)10:00~17:30
〈二次展〉
16日(金)10:00~18:00
17日(土)10:00~17:30
〈三次展〉
18日(日)10:00~18:00
19日(月)10:00~17:00