見る・遊ぶ

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柴田紹和さん久々の木曜会
表千家本流の茶 竹台子に一つ置き
軽妙な話術で爆笑の一座建立

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表千家流のベテラン茶人で華道宝山流家元の柴田紹和さんが2022年9月8日、名古屋・上飯田の茶懐石志ら玉で開かれた月釜・木曜会に登場し、10数年ぶりに木曜会に懸け釜しました。江戸初期の宗旦から先代而妙斎まで表千家歴代宗匠の箱書き、ゆかりの茶器を取り揃えた表流正統の家元好み道具に、流派を超えて茶人を魅了する数寄の寂び道具を取り混ぜた巧みな取り合わせで、茶客を魅了しました。

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齢を重ねてますます明朗、かったつ、軽妙な話術で爆笑の一座建立を演出する柴田さん。名古屋郊外の東郷町の丘陵地帯に広大な敷地には茶亭が点在。寄付から本席までの長いアプローチに、休憩するあずま屋があるほどの園地です。

この日の茶会に合わせるように、敷地の花園で初咲きしたという秋明菊、刈萱(かるかや)を、関戸家旧蔵の唐物籠花入に投げ入れ。おりしもこの日は24節気の「白露」。草花や木に朝露が宿りはじめる頃。たっぷり濡らした茶花は、だんだんと秋の気配が色濃くなる時候にぴったりです。

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本席の床は、公弁法親王(こうべんほっしんのう、1669〜1716年)が狩野周信の「伏見の小田」の絵に賛したもの。「雁のくる伏見の小田に夢覚めて寝ぬ夜の庵に月を見るかな」。新古今和歌集にある天台宗大僧正慈圓の歌を引いて、江戸幕府奥絵師3代目の周信の墨絵に寄せ書き。

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表千家では9月になると竹台子に風炉釜の一つ置きをするようで、唐金朝鮮風炉に名越弥五郎7代昌明の真形釜をのせて。竹台子は柱ごとに節の位置が異なる竹柱を配置し、同席した表流の方は「ほほう、きっちと約束通り」と感嘆しきり。なるほど、展観席に家元が箱書きした竹台子の大きな箱が飾ってある訳です。

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竹台子に仁清の細水指、席使いの薄茶器はとろとろの象牙に秋草の金銀蒔絵を施した中棗、主茶碗は楽3代ノンコウの赤楽・銘「無一物」。席使いの茶碗は、珍しい無地安南、見込みに「福」の字が書かれていました。菓子は両口屋是清製の栗きんとん、銘「秋色」。

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秋の夜長にちなんだ唐金の夜学蓋置もうれしく、鯨のヒゲを加工した鯨手の莨盆に千家十職の手になる火入、莨入、煙管を取り揃え、千家の茶風できっちりまとめてありました。

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次回は10月6日(木)、担当は桑山左近さんです。当日券あり。