見る・遊ぶ

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夫妻丹精の大バラ園を開放
豊田の光岡保之・幸子さん慈善の一服
気楽な茶亭「ろーず庵」お披露目
津波生き抜いた"奇跡のバラ"満開

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 150種500株のさまざまなバラが見ごろを迎えた愛知県豊田市本新町5の37の私設バラ園「YASAローズガーデン」を会場に、初夏恒例のチャリティーコンサートが2022年5月13日開幕しました。15日までの3日間、普段非公開のバラ園を開放してウクライナ人道支援の浄財を募るコンサートやバザーが行われます。

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 広大なバラ園を夫妻で育て維持・管理する光岡保之さん、幸子さんから共通の友人を介して招かれ、WEB茶美会編集部が初日に訪問しました。

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 この慈善イベントは、地域の名望家で長く豊田市議会議員として地域自治に貢献した保之さんが2011年、東日本大震災の被災地を支援しようと同年5月に始め、毎年、バラの開花時期に開催しているもの。
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 保之さんが理事長を務め、植林を通して地球環境保全に取り組むNPO法人グリーングラスロッツが主催。ずっと続ける東北の復興支援と併せて今回は、最大の環境破壊である戦争が続くウクライナへの人道支援がテーマ。園内はウクライナの2色国旗、黄色と青でまん幕、テーブルクロス、フラワーアレンジメントなどが染め上げられました。

 保之さんは開会挨拶で「健康が仕事や学校、大切な家族を守る土台であるように、世界も平和という土台があってこそ。平和は何より大きい」と訴えました。

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 園内は今回、話題が盛りだくさん。あずま屋に接続する茶亭「ろーず庵」が、お披露目になりました。
 離れ座敷に四畳半茶室「源庵」や付随する広間席のほか、母屋には談話室代わりの立礼茶室もお持ちの茶人夫妻ですが、かしこまらずに囲炉裏を囲んで談笑できる「気楽な茶室がほしい」と、園庭の物置を改装しました。夫妻の友人で「茶事百回」を成し遂げたベテラン茶人の稲田千寿さんが助言し、土くさい中に茶味のある仕上がりになりました。

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 長火鉢を仕組んだ座卓を囲んで、自在に吊った茶釜から湯を汲んで茶を振る舞う様子は、戦前はやったくつろぎの「田舎家の茶」を彷彿とさせます。風格ある古箪笥の上に、妻幸子さんの師匠、書家黒野清宇さんのかな書を刻印した陶板を掛け軸がわりに置き、ブルーの花器に黄色のバラを投げ入れて、青麦の穂を添えて、ウクライナ支援を象徴します。

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 茶碗は、同NPOが砂漠化したアラル海の植林活動に取り組むウズベキスタン産。目にも鮮やかなイスラム文様の彩色碗です。

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 もう一服は、あずま屋のテーブルでの冷抹茶。ボランティアの男性がバーテンダよろしく、氷と抹茶、天然水を入れたシェーカーを振ってシャンペングラスに注いでくれます。茶券はいずれも500円です。

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 咲き誇る花々の香りが漂う園内は、バラの迷宮のよう。東日本大震災の大津波に呑まれた宮城県名取市の民家庭で、奇跡的に一株生き延びた震災バラが、現地で海岸林再生の植樹活動に取り組む光岡さん宅に昨年冬、縁あって到来。「ストロベリーアイス幸子」と名付けられた奇跡のバラは、名取市から豊田市に移植され、見事に開花しました。白地に濃いピンクのはっきりとした覆輪が入り、波打つ花弁が優雅。このバラを巡る奇跡と人の縁、善意の物語は、胸を打ちます。

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 チャリティーの収益金は砂漠化防止支援と震災復興支援に寄付されます。

会期は5月13、14、15日10:00〜16:00。コンサートは10:30〜12:00。

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会場は駐車場がありません。公共交通機関を利用してください。