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スペイン舞踊家加藤おりは
渾身の「SOPLAR いのちの風焔」14日名古屋で
美しくも激しい超絶技巧

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 スペイン舞踊家加藤おりはさんが11月14日(日)午後2時から、名古屋・新栄の名古屋市芸術創造センターで、久々の自主公演「加藤おりは&Company DANZAK スペイン舞踊公演 SOPLAR いのちの風焔」を主催します。

 「WEB茶美会」でマスコットキャラクター「お茶目さん」として、茶会レポートなどで活躍するおりはさん。本職は、フラメンコ本流の超絶技巧をベースに、激しくも美しい「和」のテイストをまとった独創のスペイン舞踊家です。昨年秋に本公演を開くべく、準備しておりましたが、コロナ禍で延期。満を持しての開催です。名古屋市民芸術祭参加公演です。

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 加藤さんが、WEB茶美会にメッセージを寄せてくれました。
「踊ることがかけがえがなくて、つづけてきました。踊っているときは、世界との隔たりがなく自分のことを認められる気がしていたんです。スペイン語で、強い風が吹くという意味のSoplar。コロナ禍、踊ることが、表現の場所がなくなり自分の生きる意味を感じられないような時間が流れました」と、自分にとって踊ること、表現することはそのまま生きることだと言います。
それまでたくさんあった出演者依頼の本番がコロナ禍でパタリと無くなって、戸惑う中、待ちの姿勢ではなく自ら踊る場、表現する場を自ら見つけて、能動的に動くことに目覚めたといいます。
「時間とともに、移り変わることが人生で、変化、流れが美であり、真実なら、さまざまな思い出を力に、わたしたちはそこに絶えず挑戦していこうと思います。美しさにより近づくために」。力強い覚悟です。

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 本公演では、「シギリージャ」「ロンデーニャ」などフラメンコ古典曲に独自の振り付けをした作品だけでなく、現代音楽にインスパイアされた新時代のフラメンコ、またスペイン舞踊の技法を用いた独自のコンテンポラリーダンスも上演します。コロナ禍で死と隣り合わせの不安、親密な男女の間に横たわる深淵、いのちを燃やす激しいダンス、、など。ソロ、デュエット、トリオ、アンサンブル、変化に富んだ構成です。
 共演者も逸材ぞろいです。バイレ(踊り手)の礒村崇史さんは名古屋市にてスタジオを主宰し、日本フラメンコの第一人者、小島章司の高弟として、コンテンポラリー作品への参加など、新たな境地を目指し活動しています。ヒップホップ出身の小山田魂宮時(たくじ)さんは、身体能力抜群の万能ダンサーです。
 加藤さんが主宰するカンパニーの選抜メンバー、城所恵子さん、鈴江あずささん、高尾優子さん、土谷美紀さんも、みっちり身を削るような練習を続け、息のあったアンサンブルを見せてくれるでしょう。
フラメンコギター佐久間瑛士さんは作曲もこなし、名古屋を中心に、ジャズ、ラテンと、フラメンコだけでなく、クロスオーバーな活動を展開している俊英です。カンテ(歌)のダニエル・リコ、チェロの平山織絵さん、フルートの上原由李さん、パーカッションの丸山太郎さんの演奏陣は、芸に秀でた加藤さんが信頼する実力者たちです。

 書家との映像セッション、現代の不安を象徴する映像、舞台衣装など、加藤さんが蓄えてきた演出力、美的センスを振るうステージになることでしょう。

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 加藤さんは、幼少からバレエ、新体操を学び、新体操選手として活躍。大学時代にフラメンコと出会い、その古典的技術の取得のため渡西を繰り返し、さらにフラメンコを極めるため、ロマ族(ジプシー)の起源があるとされる北インドの古典舞踊を本場インドで研鑽。中国の気功、日本の古武術の動きも習得。コンテンポラリーダンスの倉知可英さんら実力者と共演を繰り返し、ダンスの領域を広げてきました。芸能の神をまつる奈良・天河神社に伝わって廃絶した古代舞踊、たたら舞を復活させるなど日本文化にも深く関わり、たたら舞の普及活動に取り組んでいます。
 こうした豊富な舞踊歴からアジアや日本の美のエッセンスを作品に取り入れ、ユーラシア大陸西端のスペインにおける舞踊美をベースに、日本人である舞踊家としてのアイデンティティを掘り下げる渾身のダンスを披露します。演出家として初めて手腕を発揮し、現代の不安と希望に向き合う工夫を凝らした意欲的なステージにと意気込んでいます。

 加藤さんは、ダンス表現が厳しく制約を受けたコロナ禍において、どうしたら芸術創造活動が継続できるか、模索して、表現の場を切り開いてきました。昨春の緊急事態宣言下、人気のない公園などを選んで、ダンス映像を撮りためて映像作品「沈黙の春2020  加藤おりはダンスアンソロジー」をネットで無料配信したのをはじめ、2020年10月31日には、名古屋市の鶴舞公園の野外ステージにて、無料公演「加藤おりはプレゼンツ 月夜のダンスフェスティバルin鶴舞公園」を挙行し、その成果は多くのメディアに取り上げられました。また、2021年3月、茶道、書道とスペイン舞踊との融合したダンス映像作品「ORIHA KATO Wabi-Sabi PROJECT 」(文化庁助成事業)3部作をネット配信。中日、毎日、朝日の各紙が大きく報道するなど、その創作活動が最も注目されているアーティストです。
 

 主な経歴は、2012年「Dance Grand Prix in ITALY」2位、18年度名古屋市芸術奨励賞(スペイン舞踊では初)、19年「河上鈴子記念現代舞踊フェスティバル賞」。韓国を代表する舞踊団のメイン公演に定期的に客演。

 本公演の当日券S席5000円、A席4500円(全席指定)。
チケット問い合わせは、スタジオカルダモモ=電話052(932)5222。