「利家とまつ」床飾りに
能登復興に心寄せ
石川尽くし" ワンコイン花見茶会"
「利家とまつ」。唐沢寿明と松嶋菜々子が主演した、もう20年も前のNHK大河ドラマ。このドラマを憶えている人なら、ぴんときたかもしれません。床の間には、利家直筆と伝わる短冊「不散花風」、花入には賢夫人まつにかけて、輪島塗の変わり塗り「松皮塗」の水指を花入に見立て、茶花3種を投げ入れました。有楽流拾穂園が2024年3月10日、名古屋市東区の「文化のみち橦木館」の主催で開いた「早咲きオオカンザクラ 気軽に一服茶会」です。ワンコイン(茶券代500円)の手軽さを前面に打ち出して、野点気分の茶箱のお点前ながら、どっこい中身は"うるさ型"も唸らす本格、本物を志向しました。
能登半島地震では利家、まつゆかりの寺院などが数々破損しました。この非常時に不見識の誹りを受けるかもしれませんが、七尾を拠城に能登一国を治め加賀百万石の礎を築いた利家とまつを茶席の床飾りに表現し、震災復興に心を寄せる気持ちを託しました。
一回では趣向が味わい尽くせないと、再度席入りする方(もちろん、お菓子は別種を賞味してもらいましたが)、北米シアトルから一時帰国ついでに足を延ばしたというお客様ら茶好きのほか、市民茶会の良さで、乳幼児連れの若いママさんもお子さんと一緒に一服の茶を味わっていました。
この茶会には伏線があります。ささやかながら、今年1月拙宅で催した初釜の収益全額を、翌2月には家蔵の茶器30点余を放出して開いた茶器チャリティー入札会の落札代全額を義援金として拠出。その上での、この日の室礼。能登復興に心を寄せて、輪島塗、山中塗、九谷焼など能登・石川ゆかりの茶器を数々取り合わせました。
隠逸な遊びと思われがちなお茶ですが、有楽流拾穂園とNPO法人茶美会日本文化協会は茶道を起点に、ささやかでも社会に寄与する取り組みをしてゆきます。