味わう

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拾穂日乗〜名残の茶事の名残り〜炉開き控え特急茶器干し

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コロナ禍の間、控えていた茶事の本懐石。先日、久々に本懐石による名残の茶事を催しました。茶事は茶の湯のフルコース。風炉では一般に、客を露地で迎え付け→席入り→主客あいさつ→懐石→炭手前・濃茶菓子→中立→濃茶→薄茶、と展開します。有楽流拾穂園では、これに香之茶事の故事を汲んで、聞香一種を加えており、最低4、5時間はかかります。

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伝統文化の粋を凝縮した茶道の全ての要素がここに盛り込まれている、という贅沢な茶会です。

私は一期一会を重んじ、茶事は一回一組だけ。構想から道具合わせ、庭木の手入れ、さまざまな手配、そして片付け。一会にかける時間、労力を考えたら、同じ取り合わせで何度もしたくなるのは無理からぬところですが、私にはどうもしょうが合いません。

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 コロナ禍中は、点心スタイルで正午の茶事や朝茶事などを恐々、たまに開いていましたが、やっとコロナも落ち着き、茶事の醍醐味である懐石料理がやっとできるようになり、5月から構想を練って、やっと実現しました。

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 実はコロナ禍前までは、料亭で茶事をしていた畏友の影響により、これぞおもてなし、とばかりに料亭ばりのご馳走、珍味尽くしを心がけました。しかし、あまりのご馳走攻めは、懐石が済んだらもう満腹、ほぼ泥酔。茶事が半ば終わった感が出てしまったな、と思い返して、茶事の本領はあくまでお茶。食事は腹八分目、お酒もほどほどに抑えることにしました。

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 それでも、お客5人を招いての使用道具はおびただしいものがあります。室内に並べた以外にも、漆器、掛け軸、絨毯、テーブルクロス、、、まだまだ、たくさんあります。
茶碗など水を潜らせたものは1、2週間室内干ししておりますが、10月も終わり、明日からは11月。炉開きのため、畳を変えたり、炉を開いたり、と茶室は大忙し。悠長に室内干しで部屋を占拠するわけにはいかず、乾きを早めるために、苦肉の策で外で陰干ししました。

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塗りの盆に茶器を載せておくと、湿気を含んでいれば、高台や底のあたりはしっとりした痕がつきます。茶器から蒸発した水分で、盆の表面が曇ったようになります。乾いた秋晴れのもと、陰干しでもかなり乾きが早まります。もう一日、日中の陰干しをして、箱に収納するつもりです。外干しは防犯、猫除けが心配ですが、今回は特急乾燥専一で。

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