拾穂日乗〜桜吹雪の苑〜
薄紅のさざなみ
咲き誇っていた満開の桜が、雨上がりの風に吹かれて、はらはらと散っています。
愛知県稲沢市の拾穂園には、3本のソメイヨシノがあり、訪れた人たちを桜が出迎えます。
屋敷の角。目印代わりに置いた雨傘大の雪見燈籠に、薄紅の花びらが落ちて。長年の風雨に黒ずんだ傘石に、儚げな斑模様を描いています。桜の根元に置いた大坂石の水鉢の水面は、花びらで覆われてしまいました。
時折舞い上がる風に、散りゆく桜と地表に落ちた花びらが錯綜して、花のいのちの無常を感じます。
花びらは時に乱舞。長屋門をくぐって、茶室の露路にも舞い込み、
うず高く積もって、薄紅のさざなみを描きます。
ゆくりなく花散る風情を楽しむ、春の一日です。