「やっぱり花が好き!」延べ約300点
松月堂古流いけばな展
名駅・名鉄百貨店で開幕 後期は吉田みき江さん大作
「やっぱり花が好き!」をテーマに、第45回日本生花司 松月堂古流いけばな展が2023年9月6日、名古屋市の名古屋駅前、名鉄百貨店本店催事場で11日までの6日間の会期で始まりました。コロナ禍明けで3年ぶりに再開した前回より、出展数が3割上増え、生け花の世界の復調がうかがえました。家元、直門作品を軸に、東海、関西、東京などから前後期合わせて278点が出瓶される大型華展です。
コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵攻など「心痛む出来事が日々の生活に暗い影を落とす」時期こそ、「作者の心底からのお花が大好きという思いに溢れた作品を見て笑顔になっていただけたらと幸いです」と開催メッセージ。そんな思いを託した、作品群が会場に連なります。
植松賞月家元の作品は、秋の花々が咲き乱れる大地から困難を跳ね除け、天上に思いが届けという願いを表現したような大作です。
現代花では、安藤翠香さんは、花弁に走る花脈だけ残した大輪のスケルトンフラワーを前面に、緑萌える大地が背後に透けて見える大胆な構成で、荒廃と再生、希望の兆しを託したのでしょうか。時代を見据える、深い眼差しが感じられました。
生花の木村青松庵さんは、旧暦の七夕の伝統行事「乞巧奠(きっこうでん)」をモチーフにした大作です。水揚げがとりわけ難しい青竹を笹も青々と生彩。五色の紐や灯火をモチーフにした篝火風の竹組もゆかしく、巧みな配置で目を引きました。
同流伝統の流儀花では、名古屋地区の重鎮、林勝致軒さんが菊花を添えて独特の世界観を表現。
現代的な感覚を加えて創られた流麗花にも、目を奪われます。
日本生花司松月堂古流は、江戸時代中期に僧侶の是心軒一露師によって京都で創流された流派です。安政3年(1856年)、当時の家元が孝明天皇に生花を献上したところ、これを喜んだ天皇から「日本の生花の司であれ」との褒められ、以後「日本生花司」の5文字を冠した日本生花司 松月堂古流を正式な流名とし、分流した各流派との区別化を図っています。
9日からの後期展では、現代花にWEB茶美会注目の吉田みき江さん・森圭子さん合同による大作が登場します。また、毎回、蓮を大胆に用いて詩情豊かな茶味ある作品を出している久野治子さんの現代花も見どころです。
《入場料》税込700円 ※中学生以下無料
●前期=9月日6(水)~8日(金)
●後期=9月9日(土)~11日(月)
※各日10時~19時。9月8日(金)・11日(月)は生け替え及び撤花のため16時に閉場。