「祀る」感謝〜1250
内藤千賀弘さん・脇田智香さん労作
大師慕うお遍路の花々
茶美会大茶会 普門園回廊編
茶美会大茶会は茶道を軸に異ジャンルの文化芸術が協働して、新たな文化創造を発信する新機軸の和の文化フェスティバルです。八事山興正寺の広大な会場を結ぶ普門園回廊そのものを、表現の場として使い、茶室の内も外もフェスティバルに染め上げるのが、空間演出の妙です。
第1回は空間演出に長けたコピーライター加藤あけみさんがプロデュースした「草もの盆栽」で普門園回廊を飾りました。第2回は趣を変えて、本業の民謡はもちろん、書、空間演出などマルチな才能を発揮する民謡藤栄会家元内藤千賀弘さんと、妻の真生流華道家脇田智香さんが登場。空間演出といけばなを担当しました。
テーマは「祀(まつ)る」感謝〜1250です。弘法大師御誕生1250年記念の茶美会大茶会のテーマにぴったり照準。内藤さんが朱の墨汁をたっぷり使って大筆で書いた「祀」一字の前に、信楽の大壺に青竹を組んだオブジェを投げ込み、そこへ様々な季節の花を組み合わせてありました。さらに、大型の白い水盤には紫陽花など初夏の花々が生け込み。そこに端を発するように、回廊の柱ごとに数本組の青竹の花器に立てられ、そこに多数の花が投げ込み。
内藤夫妻は多くは語りませんが、見ようによっては、弘法大師の功徳を慕って、修行の地を巡るお遍路さんをイメージした作品群なのでしょうか。お遍路がかぶる竹の菅笠、手にする金剛杖を青竹に見立て、花々はお遍路さんを象徴しているようにも見えます。
普門園は、開放的な中庭「蓬莱庭」を四方を回廊と建造物に囲まれた開放的な庭園です。一本桜や竹林、鏡のように自然を移し込む水盤があり、蓬莱庭そのものが美しい景観を成しています。季節を映す大きなランドスケープの一部である回廊に、時季の花を生けたり、空間演出する難しさは、容易に想像がつきます。今回の大師御誕生のメモリアルイヤーにふさわしい内藤さん、脇田さんのアイデア、センスに脱帽です。
次回は、和美・茶美即興ライブを紹介します。