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生命の豊穣と盛衰

松月堂古流いけばな展
後期展に吉田・久野母娘2組共演

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 「草木を通じての祈り」をテーマに名古屋駅前、名鉄百貨店本店催事場で開かれた第44回日本生花司 松月堂古流いけばな展。後期展(9月10日~12日)の見どころを紹介します。

 独自の流風を現代的に洗練させた「現代花」に、WEB茶美会注目の母娘共演の2組が出品されました。

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 大作の一つ、吉田松幹(みき江)・森松圭(圭子)さん母娘合作は、日月にも見えるシャープなオブジェ一対に、三色のファンタジーをあしらったクルクマ草を地に置き、空には白く塗料を塗った枝振り豊かな枯木を組み合わせて、気韻高い空間を現出させました。

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 久野春翠(治子)さん、久野綾美(綾子)さんは毎回、蓮を花材に意欲的な作品を出品。春翠さんは、葉と花がときともに移ろい、すがれゆく様子を繊細に表現、綾美さんはガラス製花器自体も蓮の生け花作品の一部と化す大胆な発想で、現代的な詩情を紡ぎました。

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 後期展には、古流ならではの花留め、馬のくつわ、蟹などを用いた作品や、名月を望む風情を、芒2種と小菊を組み合わせた余白の美の中に表現した三木錦咲園さんの作品も印象的でした。

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全体に、9月らしい「すがれた風情」を織り交ぜた作品が多く、草木の豊穣な生命力と、盛りを過ぎれば衰えがある盛者必衰のことわりを感じた展覧会でした。

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