見る・遊ぶ

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野趣と格調の拾穂園愉か多会
砧木槌に大胆茶花
冷茶も楽しむ

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 平安末の古筆切の格調高い掛け軸に、ひなびた砧打ちの木槌に投げ入れた野趣あふれる茶花。床の間の大胆な対比が、初秋の風情をいや増しました。有楽流拾穂園第7回愉か多会が2022年8月27日、愛知県稲沢市の同園で開かれました。

 「オーシィ・ツクツク・オーシィ...」というツクツクホウシの鳴き声が、苔むす茶庭に鳴き渡り、初秋の訪れを告げます。

 寄付は、四条派の松村呉春が月明かりのもと、砧を打つ女性を描いた画幅。これに呼応して、木槌の柄を彫って花入にした砧打ちを本席に配置。小朝顔の蔓が巻き付いた狗尾草に小菊を添えて、平安末・鎌倉初期の歌人、藤原俊成筆の古今集断簡の軸前に飾りました。

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 「主や誰 問へど白玉 言わなくに さればなべて憐れとぞ思ふ」
 古今和歌集の源融の歌です。宮中儀式で舞姫たちが舞った明くる朝、白玉の付いたかんざしを落ちているのを見つけて前夜の感慨に耽る艶っぽい歌です。

 香合は舞姫のお化粧に連想して、輿入れ道具の一つ、お白粉解きを転用したこぼれ梅蒔絵香合(表千家了々斎在判)。重陽の節句を前に、茶花の小菊と合わせ菊3種取りそろえ。水指は利休型曲げ、如心斎好み乱菊蒔絵(中村宗哲作)。茶器は堅木を菊形に精緻に彫った木地棗内梨地。

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 菓子は、稲沢名物の松屋長春製の羽二重餅を、たっぷり水に濡らした南蛮甕蓋にのせて供しました。

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 長屋門の片翼の居室を田舎家風茶室に改築した「風月の間」では、冷やした抹茶碗で点てた冷抹茶が振る舞われ、お客は納涼気分を味わっていました。

 拾穂園の次回茶会は9月17日(土)夕刻から始まる「茶事の愉しみ夕去り編」です。若干余裕があります。問い合わせは、メールで。

sabiejapan2021@gmail.com