「茶美会テーブル茶道」鮮烈な初陣
庭屋・和洋一如 大胆インスタレーション
金城茶会から新風
サムライ茶道の古流・有楽流を簡潔に切り詰めた現代版茶道「茶美会(さびえ)テーブル茶道」が2022年5月1日、名古屋市中区の名古屋城・猿面茶席で開かれた金城茶会に登場し、月釜初陣を大盛況のうちに飾りました。雨の中、お客が引きも切らず来場。茶席は12回転のフル稼働でした。
NPO法人茶美会日本文化協会が、「現代生活に有用なお茶」「伝統文化の一翼を担う現代版茶道」を掲げ、普及を図る茶美会テーブル茶道。テーブル・椅子の洋室でも、畳の和室でも両用が特徴です。今回は、四畳半台目の小間仕様の猿面茶席という伝統的な茶室が会場ながら、特別な茶道具を用いないで家庭にある品を用いてアイデア勝負、伝統と現代性が調和する「おもてなしの空間」を追求しました。あわせて「withコロナ」の時代、主客とも安全、安心できる茶会をもくろみました。
茶美会が提案した「答え」はこうです。普段は水屋になっている次の間も使って二間続きの客座にして、猿面席を相伴席付きの茶席に模様替え。その上で、襖、戸、襖を全て開け放って。床の間、さらに中庭に面した縁側まで空間演出を施して、庭屋一如、和洋融和の茶の湯空間としました。
床の間は、空間演出に長けたコピーライターの加藤あけみさんが、島田章三画伯のリトグラフ「チェロのある卓上静物」を中心に、錦織帯、那智黒石、チェロの弦をイメージした4本線などを組み合わせてインスタレーション作品「旋律」を飾りました。さらに、服部誠一さん丹精の山野草の鉢植え「草もの盆栽」と帯によるインスタレーションで、縁側を彩り、庭との一体感を醸しました。空間演出に呼応して、バロック音楽のチェロ協奏曲がそこはかとなく聴こえて来ます。
常ならぬ猿面席の様子に、席入りしたお客からは「わあ、すごい」「えー、どうなっているの」「ステキ」などの感嘆の声が上がります。茶会が進行するうちユニークな趣向が次々繰り出され「こんな楽しいお茶会は初めて」「こんな風に使われた猿面席は知らない。次に茶会をする際、とても参考になる」「娘時代にやったお茶をまたやりたくなった」などと、大変好評を博しました。
点前座は、本席、相伴席の両方から見やすいように、本来の位置から90度回転させて設営。点前座の畳のハラキリを防ぐため、絣地の敷物を敷いて、客座と仕切りました。盆略点前とはいえ、品位ある点前・所作にお客の目は釘付けになっていました。
茶美会のマスコットキャラクター「茶丸」「お茶目さん」。さらに愛犬「さびぃ」も座を賑わせ、お客を楽しませていました。
名古屋市長の河村たかしさんが特別ゲストとして来場し、どっかりあぐらをかいて、居合わせた人たちと談笑しながら、柏餅と地元愛知県西尾市産のお抹茶を楽しんでました。
茶美会テーブル茶道は、日本の伝統的な文化のエッセンスをぎゅっと凝縮した現代版サムライ茶道です。茶碗、茶筅、茶杓(竹のスプーン)があれば、ほかは特別な道具がなくても稽古、おもてなしができる、簡便さが特徴です。入り口はあくまで広く、奥は深遠。織田信長を生んだ武門の雄・織田家に伝わった450年の伝統を誇る古流・有楽流が母体となっております。
今年5月から、伝統文化を学びつつ点前・所作を学ぶ新規クラスを、本格的な茶室・庭のある愛知県稲沢市の本部茶室「有楽流拾穂園」と、交通至便な名古屋都心近くの名古屋葵支部茶室「桃庵」で開設します。平日夜間教室もあります。見学歓迎(予約制、茶菓代込み1,000円)。
お問い合わせは、茶美会日本文化協会へ。
メール sabiejapan2021@gmail.com
携帯 080(5138)8001