一器・一花・一菓
〜「豆昆布」消ゆ兎っとと〜
「その手は桑名の」龍を呑む
干支の交代式風に
いよいよ令和5年もあと2日。12月も押し詰まってくると、お茶では「送り干支」とか「干支送り」といって、初釜に使ったその年の干支の道具を再び持ち出して、この一年を振り返ります。
駄じゃれの口上を交わす通天閣の向こうを張って、拾穂園でも主役交代の干支の器を並べて、一服の茶を喫しました。
兎が線刻された緑釉の銘々皿は「今年こと兎(う)まくゆくように、ぴょんぴょん跳ねました」が、茶の友として「おそバニーにあった」名古屋名物の「豆昆布」は、哀れ製造中止。「はあ、兎(と)っとと消えました。名残り惜しや、口惜しや」と嘆き節。
これに対して、古伊万里の蕎麦猪口は、いよいよ出番到来と雲龍文も誇らしげに。「ハッピー龍イヤー」とフライング気味の口上。「その手は桑名の焼き蛤」と言いつつ、桑名・花乃舎銘菓の「蛤しるこ」をパカっと割って、お湯をたった(辰た)と注ぐだけ。
「細工はりゅうりゅう(隆々/竜竜)、仕上げをごろうじろ」。ほくほく温まって、運気は上昇きリュウ(気流)。龍を呑む勢い。