味わう

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遺徳しのび有楽忌茶会
大胆な供花、本席茶花は楚々
有楽流拾穂園で聞香・濃茶・薄茶

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 大名茶人、織田有楽斎(1547〜1621年)の命日の2023年12月13日、愛知県稲沢市の有楽流拾穂園恒例の有楽忌茶会が営まれました。大名家伝来の井戸茶碗、流祖・小堀家伝来の古瀬戸茶入、名刹旧蔵の天正与次郎の釜、火襷鮮やかな古備前種壺など、数寄大名有楽斎の命日に相応しく、その遺風をしのぶ取り合わせを、会衆は楽しんでいました。

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 拾穂園は尾張徳川家に伝わった茶道有楽流の流れを汲み、有楽斎の兄・織田信長の生誕地、稲沢市と愛西市の境にある勝幡城址に近く、織田家勃興の地にあります。千利休亡き後、天下の数寄宗匠と呼ばれた大名茶人の有楽斎の遺徳をしのんで、毎年この時期に同門や有縁者が集って記念茶会を開いております。

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 この日は、寄付に菩提寺に伝わる「正伝院殿如庵有楽大居士肖像」模を掛けて、その前に桃山時代の信楽大壺にカイヅカイブキ古木の緑と真っ赤に色づいた万両の実を大胆に投げ入れて、供花。本席床は、初座は大徳寺宙宝和尚のお題目一行、後座は大徳寺剛堂和尚の「夢」大字の軸を掛けて、会衆が般若心経を斉唱後、お供えされた伽羅・銘「夢のなごり」を会衆が相伴する形で聞香。席改めのあと、濃茶、薄茶が振る舞われました。

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 「茶はもてなしを本意とす」という流祖の教えに則り、伝統を踏まえつつ、定番に安住しない創意工夫の茶を展開。お経斉唱・聞香、濃茶、薄茶と3回席改めをして、その都度、茶花をホトケノザ、関戸太郎庵椿一輪、さらに出雲大社藪椿にホトケノザ一輪、と差し替え。寄付の豪壮な供花と、本席の楚々とした茶花が対照的で、席改めごとにお客の感興を誘っていました。
脇床には、阿弥陀仏像前に供茶、供香、供菓をして、この一年の安寧を感謝とともに、来る年の精進を誓いました。