味わう

味わう

一器・一花・一菓
冬の銘菓を暑中に
ギヤマン鉢に千鳥舞う

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 暑中にあえて「雪」の大字の軸をかけたり、雪の絵をかけたり。逆転の発想による暑気払いの趣向が、茶席を賑わす時季です。浜千鳥が磯辺に群れ遊ぶ、そんな冬の情景を表した菓子・銘「指出(さしで)の磯」(虎屋製)。時季違いがむしろ涼を呼ぶだろうと、ギヤマンの鉢に取り合わせて見ました。

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 小豆入りの道明寺羹と黒練羊羹を斜めに合わせた、江戸時代から続く銘菓だそうです。竿ものながら、見た目に涼しげで、食べて美味しく、歌枕「差出の磯」とそれに因む古歌が、清談をにぎわせます。
さしでの磯とは、海や川などに突き出ている磯、みさきです。山梨県山梨市の笛吹川河畔にある歌枕は「差出の磯」と書きます。河畔に突き出た景色を磯に見立てた情景は、古来数々の詠まれています。そのうち有名なのは古今集の賀歌。「塩の山さしでのいそに住む千鳥君が御世をば八千代とぞ鳴く〈よみ人しらず〉」。差出の磯に棲んでる千鳥は「ヤチョ!」って鳴く。君が代が「ヤチヨ(八千代)」と願っているよう。千鳥の鳴き声が、限りない長寿を祝っているようだと。だじゃれっぽいのが、面白いですね。

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 ギヤマンは江戸時代、ガラス細工の加工にダイヤモンド(オランダ語でディアマンテ)が使われ、後に彫刻されたガラス製品を「義山(ギヤマン)」と呼んだことから、茶の湯ではギヤマンとしゃれて呼び習わします。