味わう

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一器・一花・一菓
「森の貴婦人」大山蓮華
青磁花入に 気迫満ちる宗源老師「知足」

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 「森の貴婦人」「山の女王」と呼ばれる大山蓮華が、茶美会日本文化協会の本部茶室「拾穂園」の庭に初咲き。さっそく、初風炉の席に投げ入れました。

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 炉から風炉に切り替わる初夏、茶席では「一番のご馳走」の茶花です。蕾から漏れ出したなんともいえない香気が部屋を満します。開け放った障子の先に広がる茶庭は、さまざまな木々の新緑が萌え、香気が漂っていますが、大山蓮華は別格です。さながら森林浴のよう。心身をリフレッシュさせてくれます。
 白い大玉の蕾が大葉に映える大山蓮華を、鳳凰耳が付いた青磁の花入に。真の花には、やはり真の花入が似合います。

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 WEB茶美会子が学生時代通った鎌倉・円覚寺の坐禅堂。当時、円覚寺管長であった朝日奈宗源老師が筆をふるった禅語「知足」の軸をかけてみました。小柄ながら老禅師の説法は気迫に満ち、腹の底へ響き渡りました。老師の著書「覚悟はよいか」を何度も読み返した悩み多き青春時代。墨痕りんりたる書。昭和の傑僧に接しえた巡り合わせとともに、ほろ苦い青春の日々を思い出します。