味わう

味わう

一器・一花・一菓
法輪回る宋胡禄
茶碗サイズは超レア
格安・美味のわらび餅と

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 茶の湯には意外に多くの渡来ものが使われています。この茶碗は宋胡禄(すんころく)。タイ製です。箱書には「14世紀」「法輪文」と書かれています。さらっと14世紀と言いますが、日本ではいえば鎌倉時代、六古窯の時代。思えば、とてつもなく古い物です。釉薬のカセ方から、おそらく長く泥中に埋もれていて、後に出土、伝わったと見られます。とり合わせたのは、わらび餅。物価高騰の折、一個税込み300円超もする高級品になってしまいましたが、探せば格安で美味しい和菓子はまだあるもの。

こちらは愛知県尾張地方では知る人ぞ知る店のわらび餅。1個税込み180円でした。値段の割には美味しくて、ちょっと驚きでした。

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 宋胡禄は、タイ最初の王朝であるスコータイ王朝の産物です。旧都サワンカローク周辺で作られた陶器。素焼きの器に白化粧をし、鉄絵で魚文、花文などを描き、透明釉をかけたものです。14〜15世紀頃には輸出用に頻繁に作られ、日本には桃山時代から江戸初期にかけて持ち込まれ、灰釉・鉄絵の蓋物が香合、喰籠などとして珍重されました。「形物香合相撲番付」では2種がランキングされ、香合で有名です。

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 茶碗サイズの宋胡禄は希少で、日本有数のタイ陶磁コレクションを手に入れた方が来園された折、この茶碗で茶を点てて差し上げたところ、「このサイズの宋胡禄はなかなかない」と漏らしていました。

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 鉄絵の文様は、仏教国タイの最初の王朝らしく、仏教の教えを八方向に教えを広める車輪形の法具を描いたもの。法輪は、卍と共に仏教のシンボルとして信仰されたようです。エキゾチックで南国の古代王朝の息吹が感じられます。

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