味わう

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公演『弦・踏・舞』が大盛況
異種コラボが生む未知の感動
舞台作品に昇華 五十鈴たたら舞
加藤おりはさん和洋に翼
余韻と抒情 ギター佐久間瑛士さん

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 寒夜の能楽堂に、三様の花が咲いたー。スペイン舞踊・振付家で古代舞「五十鈴たたら舞」を主宰する加藤おりはさんが起点となって、ギター音楽とスペイン舞踏、五十鈴たたら舞が一夜に会して共演する公演 『弦・踏・舞』が2022年12月21日、名古屋能楽堂で開かれました。異種コラボレーションが生む未知の感動が、大勢の観客を包みました。

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 異ジャンル協働により新たな文化・芸術創造を掲げる特定非営利活動法人茶美会日本文化協会会と、加藤さん主宰のスタジオCardamommoが主催しました。

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 歳末の平日夜の舞台にも関わらず、広い名古屋能楽堂を埋めるお客さまが来場。主催者として感謝申し上げます。

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 五十鈴たたら舞は芸能の神様として有名な奈良・天河大弁財天社ににしえより伝わった巫女舞。その復興の立役者である加藤さんは祈り、祓いの型などを巧みに織り込んで、素朴な奉納楽・舞踊から、古くて新しい現代のシアターピース(舞台作品)へ昇華させました。

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 余韻の響きを「余白の美」さながら効果的に使い、抒情豊かにオリジナル曲の数々を披露した新進ギタリストの佐久間瑛士さん。ギター独奏とともに、音楽仲間と息の合った音楽世界を築きました。加藤おりはさんは圧巻の至芸と構成・演出力で、異ジャンル競演の『弦・踏・舞』を束ねました。

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 五十鈴たたら舞では、「祓」「風」「木」「火」「土」「金」「土」「始」のそれぞれのテーマを、自身を含めて13人の舞手をソロ、デュオから群舞まで多彩な編成で踊り分けつつ、気韻が途切れなく通底する古代舞のアンソロジーとして編みあげました。

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 地霊を鎮める方堅め、祈りの印相、猿楽田楽のような剽けた舞、湯立て祓い、、、など、日本古来の祈りの所作や土俗的な芸能の要素を織り交ぜて、現代に息づく古代舞として再生させました。加藤さんは神の依代となって憑依したかのような、巫女舞を披露しました。

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 フラメンコ自作「Birda(鳥)」では、スペイン舞踊特有の大判ショールのマントンを自在に操って、佐久間さんのギター伴奏ととも自然の息吹を浴びて、丹頂鶴が鳳(おおとり)に姿を変えて、羽ばたきました。

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 さらに、扇を華麗に扱いながらフラメンコの超絶技を多用したオリジナル振付曲「Guajira(グアヒラ)」では、複雑なリズムを超高速で靴底で打ち鳴らす驚異のサパテアードを披露。全身打楽器となって、能楽堂を揺るがすリズムの権化となって観客を圧倒しました。

 多彩な打楽器を自在に操って公演を盛り立てた木村和夫さんのパーカッション。上原由李さんの温かなフルートの音色、哀愁を帯びた丸山太郎さんの歌声。会場は終始、感動で包まれました。 

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