知る・学ぶ

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西川真乃女さんら「文化賞」
愛知県芸術文化選奨ベテラン・若手8人に
場を温めたLONTOさん

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 令和4年度愛知県芸術文化選奨の授賞式が、2023年3月17日、名古屋市中区の愛知県庁正庁であり、国内外で活躍する文化賞3人、文化新人賞5人に対して大村秀章知事から表彰状と目録が贈呈されました。県庁の一部のソメイヨシノはすでに満開。芸術文化に功績を挙げたアーティストたちを桜も祝っているようでした。

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 本年度46回目となる歴史ある賞です。WEB茶美会の長谷義隆編集長は、10人の選考委員の1人として関わっております。
 文化賞は各分野で長年成果を挙げた書道の近藤浩乎さん、彫刻の寺内曜子さん、日舞の西川真乃女さんが受賞。

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 真乃女さんはコロナ禍で日本舞踊界が意気消沈していた3年春に、委嘱新作長唄「佛原」を作舞・主演して、長年の芸道精進の成果を披露。名古屋の日舞・邦楽界に活力を注入しました。「続けていてよかったです」と喜びを語りました。

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 新人文化賞は、和泉流狂言方の二世井上松次郎さん、作曲の牛島安希子さん、世界有数のロン=ティボー国際音楽コンクール第1位を受賞するなど国内外での受賞多数のピアニスト亀井聖矢さん、道化師では初の受賞となったLONTOさん、陶芸の渡辺泰幸さんの5人が選ばれました。

 LONTOさんは「芸術文化からは排除されることが多いので、受賞はうれしい」と語り、クラウンとして式に臨み、おどけた仕草で喜びを表現していました。

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 式典では、井上松次郎さんが狂言方の語りものの大曲「奈須与一語(なすのよいちのかたり)」の後半を記念披露しました。屋島の源平合戦の際、奈須与市が扇の的を射た有名なエピソードを仕形話にしたもので、奈須与市、源義経などの複数の人物を一人で演じ分け、朗々たる語り、堂々たる所作で、芸道精進のほどを披露しました。

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 ただ、授賞式は、会場に現れた知事がいきなり表彰状を授与し、その後、知事のあいさつ、選考委員長の講評、県議会議長の祝辞と、贈賞側が一方的に話すだけ。受賞者にはいっさい喜びを語る場は設けられていません。表現者であるアーティストに対して、芸の記念披露者以外は、何ら表現をする機会が与えられない式典のありようは、いかがなものでしょう。
  今回は、LONTOさんのユーモアあふれる機転のパフォーマンスと、松次郎さんの迫力ある狂言語りがあって、華やぎに欠けて冷え冷えしていた場が温まりましたが、WEB茶美会は事務局に対して「受賞者あいさつを設けるべきだ」と提言しました。