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音楽学生59人に奨学金
山田貞夫音楽財団が認定式
「何より心の豊かさを」熱血会長

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 クラシック音楽振興と若手支援を通して愛知県内の音楽文化向上を推し進める公益財団法人山田貞夫音楽財団の、音楽大生・院生に対する奨学金認定式が8月6日、名古屋・名駅の名鉄グランドホテルでありました。

 愛知県内にある県立芸術大学、名古屋音楽大学、名古屋芸術大学、金城学院大学音楽芸術学科と、愛知県出身生が30人以上在学する音楽大学、並びに大学院の在学生が対象。選考の結果、2021年度は昨年度より2人増え、59人に36万円の奨学金が一括支給されます。

 感染症急拡大の折、移動制限が求められている東京藝術大学、桐朋学園大学、東京音楽大学などの在京勉学組などが欠席。華やかな音大生ファッションもグッと控えめになり、例年とは雰囲気が異なる認定式となりました。

 

 新たに代表理事に就任した田中真紀代氏が設立者の実父・山田貞夫氏の思いを代弁し「父は戦後まもない貧苦の少年時代、蓄音器で聴いたベートーヴェンの交響曲に、生きる力が全身にみなぎりました。音楽にかける情熱は人一倍あります」とあいさつし、財団の根本精神に触れました。この秋に名古屋市内で開く財団主催の新進演奏家コンサートや、新進指揮者コンサート、財団設立プレ10周年記念コンサートについての発表もありました。

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 続いて、認定書の授与が出席した各音楽大学ごと一人ひとりに行われました。

 財団の母体となる企業、ロボット工場システムをメイン事業とするダイドー株式会社が、毎年新春に開いているダイドーニューイヤーコンサートや、次代を担う才能を発掘する新進指揮者オーディション最優秀2人の披露コンサートの模様が、大型スクリーンで紹介されました。
 映像でベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」が流れると、この曲をこよなく愛する山田貞夫氏は着座したまま自然に身振り手振りで熱く指揮を始め、そのうち全身に情熱がみなぎって突き動かされ様子で立ち上がり、クラシック音楽との出会いを語りつつ奨学生たちに熱弁をふるいました。
 「西洋人は産業革命を起こし、生産性を上げる発明をしたが、最も大きな発明はオーケストラ音楽だと思う。いくらお金があっても、心が豊かでなければ幸せになれない。精神の豊かをもたらす音楽に励むあなた方は、とても大切な存在です」などと語りかけました。

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 最初はキョトンとした奨学生たちも、山田貞夫氏の情熱に打たれた様子でした。

 来賓として招かれたWEB茶美会編集長の長谷義隆は締めのあいさつで「百年前にもスペイン風邪の世界的なパンデミックがありました。人類はいくつものパンデミックを乗り越えてきました。収束の見通しがさらに遠のいたように見える現状は、夜明け前の一番深い闇にあるのかもしれない。いずれパンデミックは収束します。ピンチはチャンス。ピンチの時にこそ、おのれを磨いてください」と、奨学生にはなむけの言葉を贈りました。

 山田貞夫氏は父親から譲られた零細部品問屋を一代で年商1000億円企業に成長させました。幼くして母を亡くし、戦後まもない荒廃の時代。一旗あげようと大阪に働きに出た父親から幼い弟、妹を託され、食うや食わずで過ごした少年時代、SP盤で聴いたヴェートーベンの交響曲に勇気づけられ、破竹の勢いの起業家人生の傍には、常にクラシック音楽があるという人物です。
 オーナー社長を務めるダイドー株式会社の持株50億円相当を寄付して、若手音楽家を支援する公益財団法人山田貞夫音楽財団を2012年に創設。才能ある若いソリストと指揮者を発掘するオーディションを毎年開催し、音楽賞を授与とともにオーケストラと共演する機会を提供しております。音楽学生多数に給付型奨学金も出すなど、妻弘子さんともに夫妻で社会貢献活動に力を注いでおります。