万葉抄
月明かりに咲く烏瓜の花
日暮れを楽しむ「夕ざり」茶事にこそ
暑中お見舞い申し上げます
炎暑が一段落した夏の夜、月明かりに照らされ開く烏瓜の花は、幻想的です。蕾は繊細で、少しでも触れれば落ちてしまうので、大切に大切に持ち帰りました。
カラスウリの花が開いていくのを愛でながら、日が暮れてゆくのを楽しむ「夕ざり」の茶事を、いつかしてみたいものです。
「夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、ほたるの多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし」
清少納言作「枕草子」より
文・写真 内藤 啓