万葉抄
儚き木槿「一期一会」
侘び宗旦が愛でた底紅
木槿は、「冬は椿、夏は木槿」と言われるほど、茶花の最も代表的な花です。
数多い木槿の中で、茶人の元伯宗旦が愛でたとされる宗旦木槿にひかれます。
祖父の千利休が追求した「侘び」を極めんとし、質素な暮らしに徹したことから「侘び宗旦」「乞食宗旦」とあだ名されたそうです。
しかし、宗旦木槿は白一重の底紅に何とも言えない気品があり、宗旦の品位ある美意識が宿っているようです。
「槿花一朝の夢」。朝開き夕にしぼむ木槿。
この花を入れるたびに、その命の短さを尊び、
「一期一会」の思いを新たにします。
文・写真 内藤 啓