一器・一花・一菓
拾穂園から季節の便り
第1回は「祥瑞茶碗」
WEB茶美会を制作・運営するNPO法人茶美会日本文化協会の本部茶室「拾穂園」から、四季折々、茶室を彩る器や茶花、菓子、自然の息吹を豆知識とともに紹介する「一器・一花・一菓」シリーズを始めます。
第一回は「祥瑞茶碗」です。
今日の一服は、見た目も涼しげな祥瑞茶碗です。しょんずい、と呼びます。染付磁器の一種です。
中国明代末、景徳鎮の民窯で日本からの注文により焼かれたと考えらております。中国製なのに日本趣味が入り混じった、独特の味わいがあります。和物の写しは、日本的な和風そのものであるのに対して、祥瑞はあくまで中国的な感性が根っこになっております。
白地はあくまで白く、上質なヴァイオレットブルーの青料。水彩のように青に濃淡があり、とりわけ口辺に鉄釉を巡らせた「口紅」が喜ばれます。
釉薬がかかっていない高台(器の底)など露胎の生地には、わずかに黒いけし粒のような微かな斑点があることが多く、見極めのポイントの一つになっております。
和菓子は、半田・松華堂製の沢辺の蛍です。ギヤマンの銘々皿が涼感を増します。