知る・学ぶ

知る・学ぶ

尺八の野村峰山さん人間国宝
芸能分野では東海初の快挙
「伝統を高度に体現、技量卓越」

IMG_6672.JPG 

 名古屋市在住の尺八演奏家・作曲家の野村峰山さん(65)=本名・野村正也=が、古典伝統芸能界の名実ともに最高峰の重要無形文化財(人間国宝)に認定されることが内定しました。文化審議会(佐藤信会長)が7月22日、認定するよう末松信介文部科学相に答申。秋にも答申通り認定されます。

芸能分野の人間国宝は東海地方では初めての快挙となります。三重県川越町出身。妻は箏曲演奏家・作曲家で箏曲正絃社家元の野村祐子さん。野村さん一家は親子4代の邦楽ファミリーです、

16475556260023.jpg

(写真は、野村さんファミリー。右端が峰山さん)


 認定理由は「伝統的な尺八の演奏技法を高度に体現する演奏家として活躍し、卓越した技量を示している。また、斯界の発展及び後進の指導・育成にも尽力している」。
 WEB茶美会の取材に対して、峰山さんは「うれしいですね。東京での演奏活動やCDが評価されたようですが、地元も大切に活動して行きます」と喜びを語りました。夫妻で邦楽界を牽引してきた妻の祐子さんは「今はただ、夢を見ているような気分です」。

 流祖初代中尾都山の音楽性を分析、その芸境の真髄に迫る6回シリーズ演奏会「初代中尾都山の軌跡~音楽的思想~」を2018~2021年、東京・紀尾井ホールで開きました。尺八のみならず邦楽界にとっての偉業と絶賛されました。関連のCD「初代中尾都山の軌跡」は、文化庁の20年度芸術選奨の文部科学大臣賞を受賞。峰山さんは都山流尺八の演奏技法を高度に体現 する演奏家の一人として斯界において重要な位置を占め、活躍しています。

 峰山さんは尺八愛好家であった父の手ほどきで尺八を学び始め高校在学中に第1回都山流尺八本曲コンクール全国大会で金賞を受賞するなど早くから頭角を現しました。NHK邦楽技能者育成会第 22 期生と
しても研鑽を積み、以後本格的に都山流尺八演奏家としての道を志し、初世山本邦山(平成 14 年重要無形文化財「尺八」(各個認定)保持者)にも師事して更に技芸を磨きました。昭和 52 年都山流尺八師範検定試験を首席登第、同 59 年には大師範、平成8年には竹琳軒大師範。

都山流尺八本曲の独奏や合奏をはじめ、箏、三絃とのいわゆる三曲合奏 でも優れた演奏成果を示しています。

 とりわけ初世中尾都山による都山流本曲につい て、楽譜や口伝に基づく入念な演奏解釈を行い,曲の成立背景をも踏まえた演奏は 高く評価されています。また作曲にも力量を発揮し、多くの作品を世に出しています。
 後進の育成にも尽力。主宰する峰山会で一門を指導するほか、公益財団 法人都山流尺八楽会主催の研修会等で演奏家の育成に当たり、愛知県立芸術大学や 東京藝術大学,名古屋芸術大学において非常勤講師を務めています。

 ほかに選ばれたのは、歌舞伎立役の中村梅玉さん(75)=本名・河村順之、義太夫節三味線の鶴澤津賀寿さん(64)=本名・立花繭子、能シテ方の大坪喜美雄さん(75)=本名・大坪近司、長唄唄の杵屋東成さん(73)=本名・石川公一。