意見百出「阿弥の会」
老若・各界の30人が集合
ぎゃらり壺中天が新企画
名古屋・伏見の「ぎゃらり壺中天」が、静かなブームを読んでいる読書会に着想し「ちょっと刺激的な雑談会、茶話会、読書会のような"語り場"」(店主の服部清人さん)を定期開催することになり、「第1回阿弥(あみ)の会」が2021年10月23日、同店3階の多目的スペースでありました。
「阿弥」とは室町将軍に仕えて諸芸能や室礼を担当した諸芸の達人たち「本阿弥」「世阿弥」などの称号に、スペイン語のアミーゴ(友達)の意味も込めて命名したそうです。
記念すべき第1回のテーマは「行きたくない街No.1名古屋」。
日本の中間に位置する名古屋。各地へアクセスが便利で、味噌煮込みうどん、ひつまぶし、手羽先などに代表される"名古屋めし"は、全国的にも有名ですが、名古屋市が調査、発表した2018年度の「都市ブランドイメージ調査」では、全国主要8都市(札幌市・東京23区・横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市・福岡市)の中で、最も「魅力に乏しい街」という結果になりました。
"自虐ネタ"の捻りがきいた発足会に、数人寄ればという店主の予想をはるかに超えて、30人近くが参加。それも、留学先のバルト三国エストニアから帰国した高校生、芸術系の大学生ら若者から、80歳の趣味人まで。宗教家、アーティスト、カメラマン、新聞記者、放送人、元大学教授、行政マン、元学芸員など各界の一家言ある多彩な顔ぶれです。
戦後復興の都市計画で幅100㍍もある広い道路を実現し、モータリゼーションに適した名古屋は、一方で都市の個性、魅力を失う「こぎれいな街」の先駆けになったと、服部店主が水を向けると、極上の挽きたて焙煎コーヒー「ゲイシャ」と名店の和菓子をいただきながら、参加者から意見が百出。
「友人が名古屋に遊び来ると、どこに連れてっていいのか分からない。結局、名古屋メシの飲食店しか思いつかない」「産業都市であり、観光のアイコンが乏しい」「パフォーミングアーツの発表の場が、知らないうちに増えていて、探せば面白いものがたくさんある」「行きたくな街のトップだと。ほっといてくれと言いたくなる」「東京や大阪は大きすぎるけど、名古屋はちょうどよい大きさ」「名古屋の魅力はよそ者、馬鹿者こそが見つける」「茶室と茶庭を作ったが、京都から呼ばないでも、数寄屋大工、左官、表具師、指物師、作庭家、庭師など一流の職方が地元にいる」「中世、桃山時代から現代まで、地元に誇るべき陶芸や文化遺産があるので、さまざまに地元カラーを出した茶会ができる。そういう土地は全国にそうない」「東京、大阪など各地に住んだが、名古屋が一番住みやすい」‥。
「結論も成果も求めません。いいっぱなしの責任なし」の店主予告の通り、とりとめのない話になりましたが、最後は「名刺交換会」のような成り行き。会が果てた後、興味を惹かれた同士が自己紹介したり、雑談したり、交友の輪を広げていました。
一般社会では年齢差が大きいと、上司と部下、先輩と後輩といった上下関係が伴うことになり、フラットに話す機会はほとんどありません。古美術から現代アートまで幅広く扱うぎゃらり壺中天が、若者たちと人生・社会経験を積んだ中高年が同じ土俵で意見を交わすサロン的な会合を設けて、新たな客層、人脈を開拓しようと始めた「損して得取れ」作戦。コロナ禍で失った人脈づくり、出会いの場として、注目を集めそうです。
会費一回500円(コーヒーとお菓子付き)
事前に参加希望を下記に、ご連絡下さい 。
電話・FAX 052-203-9703 メールアドレス
kochuten@d1.dio.ne.jp (@dの後は数字の1)
今後の開講予定一覧
第二講 「現代陶芸の現状と展望」 2021年11月13日(土)13時より
第三講 「茶道~これからの茶の湯のあり方」 2021年12月11日(土)13時より
第四講 「ポストコロナをどう生きる」 日程未定
第五講 「私の好きな村上春樹」 日程未定
第六講 「骨董~蒐める人々」 日程未定
第七講 「珈琲~至高の一杯からコンビニコーヒーまで」 日程未定
第八講 「現代美術とマーケット」 日程未定
第九講 「音楽~モーツァルトとビートルズと米津玄師」 日程未定
第十講 「書~王羲之から井上有一まで」 日程未定