知る・学ぶ

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万葉抄
秋の七草、時代を映し
憶良にまさるものは‥

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 秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花
 萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また 藤袴 朝貌の花
                 山上憶良

 秋の野に咲く代表的な花を数え上げた秋の七草。
万葉の時代から、現代に至るまで幾人もの人が、様々な秋の七草を数え上げてきましたが、万葉集に詠まれた山上憶良のこの七草ほど長く親しまれているものはありません。

 しかし、時代が変われば、人間の嗜好も変わりますし、環境も不変ではありません。

 今から86年前。昭和10年に東京日日新聞(現在の毎日新聞東京本社)が各界の名士に依頼して選んだ新秋の七草は、
コスモス 白粉花 秋海棠 葉鶏頭 菊 彼岸花 アカノマンマ

 41年前。昭和55年に植物学者の本田正次博士が選んだ新秋の七草は、
ホトトギス ノギク カルカヤ ヒガンバナ マツムシソウ
またワレモコウ リンドウの花

 それぞれ好みはあると思いますが、やはり慣れ親しんでいるせいか、私は、山上憶良の秋の七草に軍配を上げます。

ただ、私には「葛花」の良さがわからず、苦手意識があります。
今回は、その「葛花」と「秋海棠」を入れてみました。

 文・写真 内藤 啓