知る・学ぶ

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万葉抄
蟬籠に朝顔
芭蕉の名句にちなみ

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 「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」松尾芭蕉

 芭蕉が詠んだセミには、「アブラゼミ(斎藤茂吉説)」「ニイニイゼミ(小宮豊隆説)」の2説があり、一時期セミの種類を巡って論争になったそうです。

 実地調査によりニイニイゼミであることが分かりました。


 句の意味は、「なんて静かなのだろう。石にしみ入るように蝉が鳴いている」。

 蝉の鳴き声は、酷くうるさく、暑さが倍増する気がしますが、夏の朝、山に行った時、騒がしい蝉の声を忘れてしまうほどの静寂な空間に引き込まれて行く不思議な感覚を覚え、芭蕉の気持ちが少しわかったように思いました。
 蝉籠に朝顔を入れました。

 文・写真 内藤 啓