万葉抄
透かしホオズキ
涼やかなドライフラワー
古事記の中で、ヤマトノオロチの瞳が赤いことが、ホオズキを用いて表現されています。
太古の時代から、身近にホオズキがあったのでしょう。
ホオズキは「鬼灯」の字の通り。ふっくらした形と炎の様なオレンジ色から、お盆に帰ってくるご先祖様や精霊が迷わずに帰って来れるように、道しるべの提灯に見立てられ、仏壇や盆棚、精霊棚に飾られます。
ご先祖様は、体を持っていないため空洞を探し、お盆の4日間は鬼灯の空洞の中に身を宿して過ごすと言われています。
この実を、数日水に漬け、葉脈だけのドライフラワーにしたものを「透かしホオズキ」といいます。残暑がぶり返した日々、見た目に涼やかな透かしホオズキを、茶花に添えてみてはいかがでしょ。
文・写真 内藤 啓