万葉抄
風に揺れる狗尾草と捩花
思い焦がれる古歌と
万葉集にも詠まれている捩花(ネジバナ)。
「芝付の 御宇良崎なる 根都古草 逢い見ずあらば 我恋めやも」
芝付の御宇良崎(みうらさき)は、どこの地名を指すのかわかりませんが、その響きに、海につきでた芝生の岬が想像されます。
その海辺に住むうつくしい素朴な娘を一目見て、恋に落ちた歌なのでしょうか。あなたに逢うことがなければ、私は恋に苦しむことはなかったのに、と歌人はうたいます。
根都古草(ネツコグサ)は、捩花を指していると言われています。
捻れながら連なって咲く花に、千々に乱れる思いを重ね合わせたのでしょうか。
風に揺れる狗尾草(エノコログサ)と捩花。思うような方向に向いてくれなくて...大苦戦。
文・写真 内藤 啓