ほっと茶ッと〈三宅宗完〉◎茶籠携えアウトドア茶道◎
気ままな一人旅のお伴
一人旅が好きだ。旅先に携帯用の茶道具を持って行くようになって十数年経つ。何泊するか、どこに行くかで、入れ物である茶籠も中身も入れ替える。
基本的には茶碗と茶筅、茶器(抹茶)、茶杓。あとは湯が手に入れば茶は点てられる。その他は、その時の好みでプラスすれば良い。旅立ち前のそのひと手間がとても楽しい。
旅先では、自分の好きな場所で、好きなタイミングで菓子を食べ、茶を飲む。それは朝の高原だったり、波の穏やかな海岸だったり、苦労して登り終えた山頂だったりする。自然の中で喫する一服の茶は、格別である。
茶道は本来、おもてなしの文化である。一服の茶をお客に美味しく召し上がっていただくため、様々な工夫を凝らし、その時の最善を尽くす。
しかし、私が旅先で楽しむ茶は自分のためである。旅先での私はとことん我儘で、自由になる。普段、公私ともに気を遣って生活しているのだから、旅先くらいは好きにしたいのである。
だから、自分から積極的に茶を振る舞いはしない。ただ、旅先で意気投合したり、トレッキングで同じコースを歩いたり、タイミングが合えば初対面の人にでも茶を振る舞うこともあり、その際は最大限美味しい茶を差し上げている。
自分の楽しみが最優先。そういう茶もあって良いのではないか、と思っている。
茶道松尾流、アウトドア茶道家